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新聞報道の解説 | 司法取引の情報まとめ
司法取引に対する企業側の戸惑い
司法取引制度導入のために、刑事訴訟法等の刑事関連法制の改正案が国会に提出されました。司法取引を巡っては、以前より新たな冤罪を生む可能性が指摘されていました。企業側からも、社内で検察への情報提供競争が起こるおそれや社内調査に支障を来す懸念がある等、司法取引導入について惑う声が上がっています。国会ではこのような懸念に向き合って、慎重な議論が求められるでしょう。
以下、日経新聞朝刊2015年3月16日報道より引用
司法取引導入 企業に戸惑い 情報提供競う混乱懸念
司法取引は欧米でも採用されており、日本では昨年9月、法制審議会(法相の諮問機関)の答申に盛り込まれた。今回導入を目指すのは、容疑者や被告が検察官に他人の犯罪情報を提供し、見返りに起訴の見送りや軽い求刑などを求める仕組みで「捜査協力型」といわれる。容疑者などが自らの罪を認めて刑の軽減を求める「自己負罪型」の導入は見送られた。(一部省略)
企業からみると、社内で検察への駆け込み競争が起きる可能性がある。同じような情報なら先に司法取引した方が有利と考えられるからだ。(一部省略)
池田毅弁護士は「企業が司法取引をするとしたら競合他社の犯罪情報を提供するといった適用例が考えられる」と予想。森本大介弁護士は「司法取引をするかどうかは取締役会で決める会社が多くなるだろう」とみる。
司法取引ができれば企業の選択肢は広がる。だが役員や社員が「検察への情報提供で会社に先を越されるのではないか」と疑心暗鬼になる可能性もある。情報提供が早まるとの見方もできるが、社内調査に支障を来すと懸念する声もある。
司法取引、2年以内に開始の見通し
政府は、司法取引の新設や取り調べの可視化の義務化などを柱とする刑事関連法制の改革案を閣議決定しました。これまで法制審議会が刑事司法制度の見直しを議論して、昨年9月に司法取引や取り調べの可視化を盛り込んだ答申を法務大臣に提出していました。下記の記事にあるとおり、司法取引の成立には弁護人の同意が必要で、対象事件は経済事件、薬物・銃器事件などに限定されました。殺人などの重大事件は対象から外されました。
以下、日経新聞電子版2015年3月13日報道より引用
司法取引2年以内に開始 可視化も導入、法改正案を閣議決定
政府は13日の閣議で、他人の罪を明かせば見返りに刑事処分が軽くなる「司法取引」の新設や、取り調べの録音・録画(可視化)の義務化などを柱とする刑事関連法制の改革案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。成立後は今夏にも公布され、3年以内に順次施行される。日本の刑事司法の大きな転換点となる。(一部省略)
司法取引は逮捕・起訴された容疑者や被告が他人の犯罪を明かせば、検察が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりできる制度。汚職や詐欺、薬物事犯などが対象で、取引には弁護人の同意が必要だ。公布から2年以内に施行される。
うそをついて他人に罪をなすりつける行為による冤罪(えんざい)を防ぐため、虚偽の供述をしたり、偽造証拠を出したりした場合は5年以下の懲役とした。
司法取引の導入や通信傍受の対象拡大により特殊詐欺の封じ込めを
警察は、おれおれ詐欺やニセの投資話、架空の請求を持ちかけて現金をだまし取る手口の詐欺などを合わせて、「特殊詐欺」と定義しています。現在の警察の捜査では犯行グループに打撃を与えているとは言い難い状況です。刑事司法改革の一貫として導入が決定されている司法取引や通信傍受の対象の拡大によって、特殊詐欺の捜査が進むことが期待されます。
以下、日経新聞電子版2015年1月6日報道より引用
特殊詐欺の封じ込めに全力を
警察の捜査が犯行グループに打撃を与えているとは言いがたい。詐欺グループの背後には、暴力団関係者がいる例も少なくない。警察は暴力団対策部門などを積極的に投入し、組織をあげて捜査を尽くすべきだ。法制審議会で決まった司法取引の導入や通信傍受の対象拡大なども見据え、封じ込めの体制を強化する必要がある。
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